松尾嘉代――「サスペンスの女王」と呼ばれたこの女優の名前を耳にするだけで、多くの人々が彼女の官能的で鮮烈な演技を思い浮かべるだろう。彼女の演技には計り知れない深みがあり、特にサスペンスドラマにおいては類を見ない存在感を放っていた。しかし、彼女のキャリアには驚愕のエピソードが数多く隠されており、特に彼女の本番撮影に関する話は、今もなお人々の記憶に深く刻まれている。

松尾嘉代は駒沢学園女子高校在学中に日活に入社し、わずか16歳で銀幕デビューを果たした。その後の彼女のキャリアは順風満帆であり、清純派女優としてもてはやされるようになった。しかし、彼女自身は「男を翻弄する妖婦」役を演じることに強い憧れを抱いていたと言われる。そしてその願望は、1964年に鈴木清順監督の作品『肉体の門』に出演することで実現する。ここで彼女は強烈な色気を放ち、清純派女優の殻を脱ぎ捨てることに成功したのである。

彼女がサスペンスドラマで「女探偵」的な役をこなすようになったのは1970年代後半からだった。松尾は幽霊屋敷を舞台にしたドラマで失踪した兄を探すヒロイン役を演じ、そのミステリアスな演技が好評を博し、「サスペンスの女王」としての地位を確立していった。さらに彼女は、どの女優も演じたがらないような濃厚な官能シーンにも果敢に挑戦し、それが彼女の人気を不動のものとしたのである。

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