初孫をこの腕に抱いたあの日、本来なら私は、ただただ幸せな気持ちで満たされるはずだった。
長男・健太に子どもが生まれたと聞いてから、夫は浮かれ通しだった。「俺もついにおじいちゃんか」と朝から上機嫌で、送られてくる赤ちゃんの動画を何度も見返していた。私もまた、胸の奥で静かに喜びを育てていた。
交際四か月で結婚し、その後すぐに妊娠が判明した時は少し驚いたが、若い二人のことだと自分に言い聞かせていた。
その日、私たちは出産祝いを持って健太夫婦の家へ向かった。空は朝からどんよりとしていたが、車内の夫は明るかった。「孫にはまず電話のかけ方を教えないとな」と冗談を言い、私は呆れながらも笑っていた。そんな穏やかな時間が、あの家に着いてから一変するとは思いもしなかった。
到着した頃には、外は激しい雨になっていた。まるで何かの不穏な予兆のようだった。出迎えたのは健太だけで、妻のリカさんは奥のリビングで赤ちゃんを抱いて座っていた。育児疲れだと健太は言ったが、彼女の表情には疲れとは別の、張りつめたような硬さがあった。
「抱っこしてもいいかしら」と私が尋ねると、彼女は一瞬ためらいを見せたものの、赤ちゃんを渡してくれた。腕に伝わる小さなぬくもりに、私は思わず胸がいっぱいになった。柔らかく、温かく、かけがえのない命だった。
「健太に似てるわね」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください