病院や公共施設の入口近くには、車いす使用者や歩行が困難な人が利用するための駐車スペースが設けられている。
この場所は、単に入口に近くて便利だから空けられているわけではない。
車いすを横付けして乗り降りするには、通常の駐車区画より広いスペースが必要になる。
杖を使う人や、長い距離を歩けない人にとっても、入口までの数十メートルが大きな負担になることがある。
その日、私は病院の入口へ向かう途中、専用駐車スペースの前で黒いミニバンが停まっているのを見つけた。
区画の前には黄色い看板があり、「車いす使用者など歩行が困難な方の専用駐車スペース」とはっきり書かれている。
車は白線の内側に入っていたものの、専用表示の真正面を塞いでいた。
運転席には人がおらず、車の横に30代くらいの男性が立っていた。
私は、誰かを乗せ降ろししているのかと思い、声をかけた。
男性は振り返ると、困った様子もなく答えた。
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