まずは、夫が私を看病してくれた日のことから説明したい。
その日、私は朝から体が重く、熱を測ると少し高かった。
「大丈夫?」
夫は心配そうに私の顔をのぞき込み、何度も額に手を当てた。
私は「少し寝れば治ると思う」と答え、リビングのソファで横になっていた。しかし、薬が効いてきたのか、いつの間にか眠ってしまったらしい。
しばらくして目を開けると、私は夫の腕の中にいた。
「起きちゃったか。もうベッドに着いたから、ゆっくり寝てね」
夫はそう言って、私をそっと布団の上へ下ろした。
額を撫でながら、
「よしよし。明日には良くなってるよ」
と穏やかに声をかけてくれる。
ここまでなら、誰が見ても優しい夫である。
しかし、実際は少し違う。
私と2人きりになった夫は、急に表情を緩ませた。
「よ〜しよしよし。ベッドに着きましたよ〜。おねんねしましょうね〜」
さっきまで普通に話していた人とは思えないほど、甘い声だった。
さらに私の頭を撫でながら、
「風邪ひいてるりずちゃんも、可愛いでちゅね〜。ずっと看病してあげまちゅよ〜」
と赤ちゃん言葉で話し始めた。
私は熱とは別の理由で顔が赤くなった。
夫は看病してくれている。
とても優しい。
それなのに、恥ずかしすぎて素直に喜べない。
私は返事をせず、布団の中で目を閉じるしかなかった。
夫の“真実”が現れるのは、看病中だけではない。
毎晩、寝る前になると、夫は私の隣に入り、必ず話しかけてくる。
「今日も1日お疲れさま」
「いつも家のことをしてくれてありがとう」
「今日も可愛くてありがとう」
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