ある日、夫の給与明細を見て、私は思わず手を止めた。
総支給額327,657円。
控除額83,642円。
差引支給額244,015円。
手取りは約24万円。
そこまでは別に驚かなかった。
しかし、私はその後、夫の通勤事情を知って愕然とした。
夫は毎日、自腹で高速道路を利用して通勤していたのだ。
片道850円。
往復では1,700円。
月に20日出勤すれば、なんと34,000円になる。
私は夫に尋ねた。
「どうして毎日高速を使っているの?」
すると夫は、スマホから目も離さずに答えた。
「時間のほうが大事だから。下道だと混むし、疲れるんだよ」
「でも、毎日3万円以上かかるよね?」
「それくらい別にいいだろ。俺が稼いだ金なんだから」
その言葉を聞いて、私は何も言えなくなった。
夫は毎朝7時に家を出る。
その前に私は朝食を作り、お弁当を用意し、夫を起こして身支度を手伝っていた。
夫が出勤するまで、私は自分の準備を後回しにすることも珍しくなかった。
帰宅後も同じだった。
夕食の準備、洗濯、掃除、翌日の弁当の下ごしらえ。
夫はソファでスマホを見ながら言う。
「今日も疲れた。高速使っても仕事は大変だよ」
私はそのたびに思っていた。
私だって疲れている。
でも、夫は一度も私の時間について考えたことがなかった。
ある日、私は家計簿を開いた。
夫の高速代は月34,000円。
年間にすると408,000円。
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