「すみません、そこは私の席なんですが」
新幹線に乗り込んだ私は、自分の指定席を見て思わず立ち止まった。
見知らぬ男性が、堂々と私の席に座っていたのだ。
しかも、隣の座席には大きな黒いバッグまで置いてある。
どう見ても2席を占領している。
私は朝から仕事と移動が続き、ようやく座って休めると思っていた。
自由席は満席。
だから追加料金を払って指定席を予約したのだ。
それなのに、なぜ私が立っていなければならないのか。
私は念のため、スマホの予約画面を確認した。
車両も座席番号も間違っていない。
「すみません。ここは私が予約した席です」
男性は面倒くさそうに顔を上げた。
そして一言。
「I don't understand」
日本語が分からないという態度だった。
私は英語で伝え直した。
「This is my reserved seat. Please move.」
すると男性は、隣のバッグだけを持ち上げた。
しかし、自分は座ったまま。
思わず目を疑った。
荷物をどかす意味は分かるのに、自分が座っている席を譲る意味は分からないらしい。
「Could you please stand up?」
そう伝えても、男性は首をかしげるばかり。
さらに、
「Is this a non-reserved seat?」
「I don't understand Japanese」
と、話をそらし始めた。
近くの乗客もこちらを見ていた。
しかし、誰も口を挟もうとはしない。
私は少し迷った。
ここで揉めれば、せっかくの移動時間が台無しになる。
でも、指定席料金を払ったのは私だ。
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