小学6年生の息子が、帰宅するなり玄関で泣き出した。
「お母さん、俺……明日から学校に行くのが怖い」
その理由を聞いた私は、思わず言葉を失った。
その日、息子はいつもより1時間近く遅く帰ってきた。
玄関のドアを開けても「ただいま」の声がない。
ランドセルを背負ったまま、うつむいて立っていた。
「どうしたの?何かあった?」
私が尋ねると、息子は小さく首を振った。
「別に……」
でも、目は真っ赤だった。
夕食の準備を止め、息子の隣に座った。
しばらく沈黙が続いたあと、ようやく口を開いた。
「クラスのB君が、毎日いじめられてるんだ」
B君はおとなしく、誰に対しても強く言い返せない子だった。
給食の時間になると、同級生たちがB君の牛乳を勝手に持っていく。
嫌だと言えば「そんなことで怒るなよ」と笑われる。
掃除当番まで押しつけられ、断ると「ノリが悪い」とからかわれる。
それが何週間も続いていたという。
「先生には言わなかったの?」
私が尋ねると、息子は唇を噛んだ。
「言ったよ。でも先生に『気にしすぎじゃない?』って言われた」
私は耳を疑った。
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