「自分の服くらい、自分で用意すればいいだろ!」
昨夜、妻と口喧嘩したとき、私はつい言ってはいけない一言を口にしてしまった。
原因は洗濯物だった。
仕事から帰宅すると、リビングには畳まれていない洗濯物が置いてあった。
私はそれを見て、何気なく言った。
「毎日洗濯してるだけなのに、そんなに疲れるものなの?」
妻は手を止めて、私をじっと見た。
「じゃあ、あなたが全部やってみれば?」
「いいよ。洗濯くらい簡単だろ」
売り言葉に買い言葉。
そのままお互いに口をきかず、私は寝室へ向かった。
そして翌朝。
いつものように出勤しようと、クローゼットを開けた。
ところが、そこで私は固まった。
「……なんだ、これ?」
床に置かれていたのは、私のシャツやズボンだった。
しかも、ただ置かれているわけではない。
袖と袖、裾と裾が複雑に結ばれ、まるで知恵の輪のようになっていた。
青いシャツも、紺色の制服も、全部ぐちゃぐちゃに結ばれている。
1着ほどこうとすると、別の部分まで引っ張られる。
「おい!これ、どういうことだよ!」
妻はキッチンで朝食を作りながら、涼しい顔で答えた。
「自分の服くらい、自分で用意すればいいんでしょ?」
昨夜の私の言葉だった。
私は何も言い返せなかった。
「洗濯も簡単なんだから、これくらい簡単にほどけるよね?」
妻は笑顔で続けた。
時計を見ると、出勤まで残り20分。
私は必死になって服をほどき始めた。
しかし、5分経っても1着すら元に戻らない。
結局、私はネクタイを結ぶ時間さえなくなり、会社に遅刻する寸前だった。
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