「スーツ、クリーニングに出しておいて」
夫にそう頼まれたので、翌朝、スーツをハンガーから外した。
いつものようにポケットの中身を確認していると、内ポケットから1枚の紙が出てきた。
最初はレシートかと思った。
でも、広げた瞬間、私の手が止まった。
そこには見覚えのないホテルの利用明細が印字されていた。
部屋番号は406号室。
ショートタイム60分、2,490円。
ショートタイム100分、3,240円。
そして、その下には休憩4時間、7,260円。
……え?
私は何度も紙を見直した。
夫は普段、仕事が終わると寄り道もせず帰ってくる。
休日も家族と過ごすことが多く、怪しい行動などなかった。
それなのに、どうしてスーツのポケットからホテルの利用明細が出てくるの?
しかも、夫は前日の夜も普通に帰宅していた。
「今日は疲れたから先に寝るよ」
そう言って、いつも通りお風呂に入り、スマホを枕元に置いて寝ていた。
私は明細をスマホで撮影した。
そして、紙を元の場所に戻した。
その日は何も聞かなかった。
問い詰めて嘘をつかれるより、まず事実を確認したかったからだ。
翌日の夕食。
夫はいつも通りテレビを見ながら食事をしていた。
私は何気ない口調で尋ねた。
「そういえば、昨日のスーツってどこで着てたの?」
夫は箸を動かしながら答えた。
「普通に会社だよ。何で?」
「仕事の後は?」
「同僚と少し話して、そのまま帰ったけど」
私は黙ってうなずいた。
そして、スマホに保存していた写真を夫の前に置いた。
「じゃあ、これは何?」
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