飛行機が離陸する直前、突然、太ももに何かが当たった。
最初は隣の人の荷物かと思った。
でも、横を見た瞬間、私は思わず固まった。
「……は?」
私の太もものすぐ横に、隣の男性の手があった。
しかも、ただ手が当たっただけではない。
男性は自分の体をこちらへ寄せ、私の座席のほうにもたれるような姿勢になっていた。
「ちょっと待って。何この状況……?」
私は一瞬、何が起きているのか理解できなかった。
飛行機に乗るとき、隣の席との距離が近いことは分かっている。
特に普通席では、体格や姿勢によって腕や肩が触れてしまうこともある。
それくらいなら、ある程度は仕方がないと思う。
でも、今回の状況は明らかに違った。
隣の男性は、私との間にある肘掛けを勝手に上げていたのだ。
「えっ、なんで肘掛けが上がってるの?」
私は思わず目を疑った。
搭乗して座ったときには、特に気にしていなかった。
自分の荷物を足元に置き、シートベルトを締め、離陸を待っていただけだった。
ところが、気づいたときには座席の境界になる肘掛けがなくなっていた。
そして、その空いた部分に男性の体が寄ってきている。
「いやいや、これはおかしいでしょ……」
私は心の中で何度もそうつぶやいた。
そもそも、飛行機の座席は1人ずつ決まっている。
隣の人がいるのに、勝手に肘掛けを上げて体を寄せるのは、普通に考えて迷惑だと思う。
しかも、今回は太ももに手まで当たっている。
偶然触れてしまったのか、それとも意識的な行動だったのか。
そこまでは分からない。
でも、私はとにかく不快だった。
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