「お父さんのねるところがなくなりました。」
子どもの国語のプリントに書かれた1文を見て、私は思わず二度見した。
「……お父さん?」
問題は、いたって普通の作文だった。
「『ところが』を使って、文を作りなさい。」
ところが、子どもが書いた答えは、先生が想定していたものとはまったく違っていた。
「お父さんのねるところがなくなりました。
」
しかも、その横には大きな赤いバツ。
先生からの説明も添えられている。
「『ところが』は、前の内容と反対のことをつなぐ言葉です。」
そして最後に、こんな一言まで書かれていた。
「家の事情は書かなくてよいです。」
私はしばらくプリントを見つめた。
「いや、ちょっと待って……」
確かに、子どもの答えは文法的には間違っている。
「ところが」を接続詞として使うのが、この問題の目的だからだ。
でも、子どもは「寝るところが」という言葉を使っている。
文字としては、確かに「ところが」が入っている。
「これ、発想としては面白いんだけどな……」
思わず笑いそうになった。
ただ、文章の内容をもう一度読んだ瞬間、少し気になった。
「お父さんの寝るところがなくなりました。」
何で、こんな文章を思いついたんだろう?
私は子どもを呼んだ。
「ねえ、この国語の問題なんだけど」
「なに?」
「どうして、お父さんの寝るところがなくなったって書いたの?」
子どもは不思議そうな顔をした。
「だって、なくなったじゃん」
「……え?」
「お父さん、最近ソファで寝てるでしょ?」
そう言われて、私は思い出した。
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