「は!?何だこれ!ふざけんなよ!」
畑に着いた瞬間、思わず大声が出た。
目の前に広がっていたのは、信じられない光景だった。
昨日まできれいに張ってあった黒いマルチが、何列もぐちゃぐちゃになっていたのだ。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ……」
私は慌てて畑の中へ入った。
近くで見ると、想像していた以上にひどい。
黒いマルチは途中で破れ、めくれ上がり、土に埋もれている部分まであった。
畝の形も崩れている。
「何でこんなことになってるんだ?」
最初は、強い風でも吹いたのかと思った。
でも、どうも様子がおかしい。
マルチが剥がれているだけではない。
地面には、何かが通ったような跡が残っていた。
「……これ、タイヤの跡じゃないか?」
私はしゃがんで土を確認した。
畑の端から内側へ、細長い筋が何本も続いている。
土が押し固められたように見える場所もある。
「まさか、車か何かが入ったのか?」
そう思うと、急に腹が立ってきた。
この畑は、時間をかけて少しずつ整えてきた場所だった。
まず草を刈り、土を耕す。
石や大きな根を取り除き、肥料を入れて土をならす。
そこから畝を作り、マルチを張っていく。
言葉にすると簡単だが、実際にやるとかなりの重労働だ。
「ようやくここまでできたのに……」
私は破れたマルチを見つめた。
畑仕事は、思いどおりに進まないことも多い。
雨が降れば作業を延期するし、土が乾きすぎていれば水分の状態も考えなければならない。
だから、ようやく準備が整ったときは本当にうれしかった。
これから野菜が育っていくのを楽しみにしていた。
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