「えっ、これって右が女子トイレじゃないの?」
初めて訪れた施設でトイレを探していた私は、2つのドアを前にして思わず足を止めた。
普通なら、男女のマークを見ればすぐに分かるはずだ。
ところが、目の前にあったのは、見たこともないデザインだった。
白っぽいコンクリートの壁に、黒い曲線と金色の細い棒が組み合わされたマークが2つ。
それぞれの下には、黒い短い線で作られた記号のようなものも付いている。
「……これ、何?」
私はしばらくマークを見つめた。
左側は、黒い曲線が右に膨らみ、金色の線がその左側に並んでいる。
右側は、その反対だった。
金色の線が右側にあり、黒い曲線が左に向かって伸びている。
つまり、左右を反転させたようなデザインになっていた。
「おしゃれなのは分かるけど、男女の区別が全然分からない……」
私は思わず苦笑いした。
最近は、飲食店や商業施設でも、凝ったデザインのトイレマークを見かけることがある。
昔ながらの青い男性マークと赤い女性マークではなく、シンプルな線や図形だけで表現しているものだ。
確かに、建物全体の雰囲気に合わせたデザインは素敵だと思う。
ただ、今回のマークは少し難易度が高すぎた。
「普通に男と女って書いてくれたらいいのに……」
私はそうつぶやいた。
一緒にいた友人にも聞いてみた。
「ねえ、これ、どっちが女子トイレだと思う?」
友人は少し離れた場所から2つのマークを見比べた。
「えっ、普通に右じゃない?」
「だよね!私も右だと思った!」
私たちは思わず顔を見合わせた。
ところが、なぜ右だと思ったのかと聞かれると、うまく説明できなかった。
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