「敷金6万円は返せません。さらに4万円のお支払いをお願いします」
管理会社から届いた連絡を見た瞬間、私は思わず声を上げた。
「は?何で私が追加で払うの?」
4年間住んだ賃貸マンションを退去したばかりだった。
家賃の滞納もない。退去前には部屋を掃除し、立ち会いにもきちんと応じた。
もちろん、4年も暮らしていれば多少の使用感はある。
でも、敷金6万円が全額なくなるだけでなく、さらに4万円請求されるなんて思ってもいなかった。
慌てて明細を確認すると、そこにはこう書かれていた。
「床の張り替え費用 100,000円」
私は思わず目を疑った。
「床の張り替え?どういうこと?」
請求の理由は、台所の前にある長い傷だった。
確かに、床には目立つ傷があった。
でも、それは私が付けたものではない。
入居したときから、すでにあった傷なのだ。
「ちょっと待って。これ、絶対おかしいでしょ」
私はすぐに管理会社へ電話した。
担当者は榊さんという男性だった。
「お世話になっております。退去費用の明細について確認したいんですが」
「ああ、床の張り替えの件ですね」
「はい。10万円の請求が来ているんですが、あの傷は入居前からありました」
すると榊さんは、何でもないことのように答えた。
「退去時に傷が確認されたので、ご負担いただくことになります」
「いや、だから入居したときからあったんです」
「でも、退去時には傷がありましたから」
私は一瞬、言葉を失った。
「それ、説明になってませんよね?」
少し強い口調で言うと、榊さんはため息をついた。
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