グリーン車で前の座席に靴を乗せ、大声で電話を続ける男性。周囲が迷惑そうにしているのに、本人だけはまるで自宅のリビングにいるかのようにくつろいでいた。
私は新幹線のグリーン車に乗り込み、自分の席に座ろうとした瞬間、思わず足を止めた。
目の前の男性が、座席を大きく倒し、両足を前の座席の背もたれに乗せていたのだ。
しかも、スマホを耳に当てたまま、周囲に響き渡る声で話している。
「だからさ、今新幹線なんだって!まあ、別に何も問題ないけどな!」
笑い声まで響いている。
ここは自宅でも、居酒屋でもない。
静かに過ごすために、普通車より高い料金を払って乗っているグリーン車だ。
私は自分の席に座ったが、男性の足が気になって仕方がなかった。
前の座席の背もたれには靴底が押しつけられている。
後ろの乗客は、窮屈そうに何度も座り直していた。
斜め前に座っていた年配の女性も、何度も男性を振り返っている。
それでも本人は、まったく気にする様子がない。
「いやいや、マジで笑えるって!」
電話の声がさらに大きくなった。
私は一度、直接注意しようかと思った。
しかし、こういう相手に注意して逆ギレされたら、せっかくの移動時間まで台無しになる。
そこで、私は静かに席を立った。
車両の連結部分に向かい、通りかかった車掌に声をかけた。
「すみません。少し確認していただきたいことがあります」
車掌は足を止めた。
「どうされましたか?」
私は状況を説明した。
「前の席に靴を乗せて、大声で電話をしている方がいます。後ろの乗客も困っているようです」
車掌は真剣な表情でうなずいた。
「承知しました。
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