葬儀から3日後、見知らぬ差出人から届いた1通の手紙。
そこには、亡くなった父の名前と、信じられない要求が書かれていた。
葬儀が終わってから、家の中は静まり返っていた。
父がいつも座っていた椅子。
飲みかけのまま残された湯のみ。
玄関に置かれたままの靴。
どれを見ても父を思い出し、まだ涙が止まらなかった。
そんなある日の午後、郵便受けに見慣れない封筒が入っていた。
差出人には心当たりがない。
役所からの通知かと思い、何気なく封を開けた。
ところが、最初の数行を読んだ瞬間、手が止まった。
「突然のお手紙、失礼いたします」
丁寧な挨拶から始まる文章には、父が以前利用していた貸しスペースについて書かれていた。
そこを整理したところ、父の荷物の中から違法なDVDが見つかったという。
さらに、内容を確認したところ、警察に届け出る必要があるものだと書かれていた。
私は思わず手紙を握りしめた。
父がそんなものを持っていたなんて、信じられなかった。
しかし、もっと恐ろしいのはその先だった。
差出人は、警察に届ければ父の名誉が傷つき、家族にも迷惑がかかると言う。
だから、自分たちが内々に処分してあげる。
その代わり、指定した口座にお金を振り込んでほしい。
そんな内容だった。
しかも、振込先の口座情報まで記載されていた。
「……何なの、これ」
悲しみでいっぱいだった頭が、一気に冷静になった。
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