「駐車してます?車もないのに、一体何を言ってるんだ……」
休日の午後、私は家族と温泉施設へ出かけた。
到着したのは午後2時頃。
ところが、併設された駐車場はほぼ満車だった。
入口付近では、何台もの車が空きスペースを探してゆっくり走っている。
私たちも10分以上、駐車場をぐるぐる回っていた。
ようやく1台分の空きを見つけたと思った、そのときだった。
駐車スペースの真ん中に、黄色いプラスチック製の箱が置かれていた。
箱には大きな紙が貼られている。
「駐車してます」
「外出中」
「食事・温泉」
私は思わず二度見した。
いや、車がないのに駐車しているとはどういうことだ?
どうやら、食事や温泉から戻ってくるまで、駐車スペースを確保しておきたいらしい。
周囲を見渡しても、ここは普通の一般駐車場。
予約専用でも、月極駐車場でもない。
後ろには駐車場所を探している車が何台も並んでいた。
「これ、箱を端に寄せて停めればいいんじゃない?」
家族が言った。
しかし、勝手に動かしてトラブルになるのも嫌だった。
私は箱には触れず、写真を撮って施設の受付へ向かった。
「すみません。駐車場で車がないのに、箱を置いて場所取りしている人がいるんですが」
受付のスタッフは写真を見ると、すぐに係員を呼んだ。
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