日本舞踊界の名家に生まれながらも波乱万丈の人生を歩んだ藤間紫さんについてお話しします。彼女は元祖スキャンダル女優と呼ばれ、舞踊界と芸能界を揺るがす数々の事件を引き起こしてきました。その中でも、3億5000万円もの高額な慰謝料を巡る争いと、彼女が迎えた孤独な最期には胸を締め付けられるものがあります。

広告

日本舞踊界の名門に生まれた天才

藤間紫（本名：木下綾子）さんが誕生したのは大正12年。当時の日本では女性の社会的地位が低かった中、彼女はその枠を超えた存在でした。12歳で藤間流に入門すると、瞬く間に才能を発揮し、「天才少女」と称されるまでになりました。

藤間流の家元であった藤間勘十郎から「紫」の名を授かった彼女は、内弟子として特別な指導を受けながら、21歳で正式に名取りとなり、藤間勘十郎と結婚しました。しかし、二人の結婚は純粋な愛情だけで結ばれたものではありませんでした。

波乱の結婚と光源氏さながらのロマンス

藤間勘十郎は彼女の師匠であり、24歳年上でした。幼い頃から厳しく育てられた藤間紫さんが、最終的に彼の妻となった経緯は、まるで『源氏物語』の光源氏と紫の上のようだと世間を騒がせました。しかし、華やかな結婚生活の裏には、多くの暗い影が潜んでいました。

藤間紫さんは家元夫人として、藤間流の発展に大きく貢献する一方、1949年からは女優としても活躍。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください