「また停まってる……いい加減にしてくれよ!」
仕事で事業所に戻ってきた私は、駐車場を見た瞬間、思わず声を上げた。
そこには、見慣れた黒いトヨタのクラウンマジェスタが停まっていた。
もう何度目だろう。
最初にこの車を見かけてから、ほぼ1ヶ月が経っている。
しかも、たまに停めているという程度ではない。
ほぼ毎日、昼頃から翌朝まで居座っているのだ。
「ここを自分の駐車場だと思ってるのか?」
本当に理解できなかった。
ここは事業所の駐車場だ。
もちろん、関係者が仕事で利用するための場所であって、誰でも自由に停められる駐車場ではない。
最初に見つけたときは、正直そこまで怒っていなかった。
「誰かが間違えて停めたのかな」
そう思ったからだ。
近くの施設を利用する人が、駐車場所を勘違いした可能性もある。
だから、いきなり大ごとにはせず、まずは注意書きをワイパーに挟んだ。
「無断駐車禁止」
これを見れば、普通は次から停めないだろう。
私はそう考えていた。
ところが、翌日。
同じ車が、また停まっていた。
「……え?」
しかも、前の日とほとんど同じ場所だった。
「警告、見てないのか?」
私はもう一度、注意書きを挟んだ。
それでも、状況は変わらなかった。
3日後も、5日後も、同じ車が現れた。
そのうち、朝から駐車場を確認するのが嫌になってきた。
「今日こそいないだろうな」
そう思って見に行く。
しかし、そこには当たり前のように黒いマジェスタが停まっている。
「何なんだよ、本当に……」
怒りを通り越して呆れてしまった。
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