「こんな問題も解けないの?数学の成績、平均以下なんじゃない?」
教室に響いた同級生の笑い声。
その日、私はクラス全員の前で、1枚の数学クイズを出された。
円が3つ描かれた紙だった。
1つ目の円には、上に「4」と「4」、下に「32」。
2つ目には、上に「4」と「5」、下に「40」。
そして3つ目には、上に「4」と「6」、下には赤い「?」が書かれていた。
問題はたった1つ。
「3つ目の円に入る数字は何でしょう?」
私はすぐに「48」と答えた。
すると、クラスで一番数学が得意だと自慢している健太が笑い出した。
「そんな簡単な問題、適当に答えただけだろ?」
「じゃあ、お前は分かるのか?」
私が聞くと、健太は自信満々に黒板の前へ出てきた。
「32から40になっているんだから、次は48に決まってる。でも、それが正解だという証拠はあるのか?」
確かに、答えだけなら誰でも言える。
先生も腕を組んで言った。
「大切なのは答えではなく、規則性を見つけることだ」
私は黒板に3つの式を書いた。
4×4×2=32
4×5×2=40
4×6×2=48
「それぞれ、上の2つの数字を掛けて、さらに2倍しているんだよ」
教室が静かになった。
健太は黒板を見つめたまま、何も言わなかった。
しかし、私はそこで話を終わらせなかった。
「ただし、もう1つ大事なことがある」
先生がこちらを向いた。
「この問題、実は与えられた3つの例だけでは、数学的に答えが1つに決まるとは限らないんです」
私は続けた。
「別の規則を作れば、違う答えを導くこともできます。だから、出題者が想定した規則を見抜くことと、答えが唯一だと証明することは別なんです」
先生は少し驚いた顔をした。
そして、ゆっくりとうなずいた。
「その通りだ。よく気づいたな」
健太は悔しそうに席へ戻った。
その日の授業の最後、先生は黒板に大きく48と書いた。
「計算ができるだけでは、本当に数学が得意とは言えない。
なぜそうなるのかを説明できることが大切なんだ」
私はその言葉を聞いて、少しだけ嬉しくなった。
ちなみに、皆さんはこの問題、すぐに解けましたか?
答えは48。
でも、本当に大切なのは、数字を当てることではなく、その数字にたどり着いた理由を説明できることなのかもしれません。