「えっ、大学の学食で食品サンプルの唐揚げを食べた人がいるの!?」
昼休み、俺は学食の掲示板に貼られた1枚の紙を見て、思わず足を止めた。
そこには赤い文字で大きく「残念」と書かれていた。
その下には、こんな内容が続いていた。
「5月7日(木)、サンプルの唐揚げを食べた人がいました。食中毒になりますので、今後サンプルにラップをかけさせていただきます」
最初は冗談かと思った。
しかし、どうやら本当に起きた出来事らしい。
俺が友人に見せると、友人も目を丸くした。
「待って、食品サンプルって食べるものじゃないよな?」
「大学生にもなって、そんなこと分からないのかよ……」
周囲の学生たちも次々と掲示板の前に集まってきた。
「誰が食べたんだよ!」
「唐揚げが本物に見えたのか?」
「いや、仮に本物でも展示品を食べるなよ!」
学食のおばちゃんに聞くと、さらに驚く話が返ってきた。
「あれね、毎日きれいに並べている展示用のサンプルなの。みんなに料理の量や見た目を分かってもらうために置いているのよ」
つまり、注文する前に料理を確認するためのものだった。
ところが、ある学生がショーケースを開け、中の唐揚げを取り出して食べてしまったという。
しかも、1個だけではなかった。
「2個も食べたらしいよ……」
おばちゃんは疲れた顔でため息をついた。
「毎日きれいに準備しているのに、どうしてこんなことをするのかしらね」
俺たちが呆れていると、近くにいた男子学生が突然口を挟んだ。
「でもさ、置いてある方も悪くない?」
全員が彼の方を向いた。
「どういう意味?」
友人が聞き返すと、男子学生はスマホを見ながら平然と答えた。
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