「……これ、何て返せばいいんだよ」
スマホに届いた母からの写真を開いた瞬間、私は思わず顔をしかめた。
写っていたのは、母の腕だった。
肘のあたりから手首近くまで、広い範囲に紫色のあざが広がっている。黄色っぽく変色している部分もあり、見ているだけで痛々しかった。
病気になった母が、治療後の腕の状態を撮って送ってきたのだ。
「こんなになっちゃった」
そんな母の声が聞こえてきそうだった。
もちろん、心配ではある。
こんな状態になっているのだから、本人はもっとつらいだろう。
でも、私はこういう写真を送られるのが昔から苦手だった。
傷口やあざを見せられると、どう反応すればいいのか分からなくなる。
「大丈夫?」
そう返せばいいのだろう。
「痛そうだね。無理しないでね」
そんな言葉でもいいのかもしれない。
でも、スマホを握ったまま、なかなか返信できなかった。
母は、昔からこういう写真をよく送ってくる。
病院に行ったこと。
検査を受けたこと。
体調が悪くなったこと。
入院したこと。
何かあるたびに連絡が来る。
そのたびに、私はどう返事をすればいいのか悩んでしまう。
「またか……」
そんなことを思ってしまう自分がいる。
母が苦しんでいるのに、こんな反応をするなんて冷たい息子なのかもしれない。
でも、正直な気持ちだった。
母はこれまでの人生で、本当に何度も入退院を繰り返してきた。
私が覚えているだけでも、かなりの回数になる。
子どもの頃から、母が病院に行くことは珍しくなかった。
大人になってからも、それは続いた。
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