「痛みに強いほうなので、大丈夫だと思います」
そう自信満々に答えた数分後、俺は人前で情けないほど絶叫することになった。
きっかけは、たまたま立ち寄ったイベント会場だった。
通路を歩いていると、カラフルなのぼりが目に入った。
そこには大きな文字で「生理痛体験コーナー」と書かれていた。
「へえ、こんなのあるんだ」
思わず足を止めた。
以前から、妻は生理痛がつらいと話していた。
生理が始まると、お腹を押さえて横になっていることもある。
「今日はお腹が痛いから、ちょっと休ませて」
そう言われたことも何度かあった。
もちろん、俺も心配はしていた。
「大丈夫?何か買ってこようか?」
そんな声をかけることはあったけれど、正直、どれほど痛いのかまでは想像できていなかった。
自分には経験できない痛みだからだ。
それに、妻が「痛い」と言っても、外見からは分からない。
顔色が悪い日もあれば、普通に家事をしている日もある。
「今日はそんなにつらくないのかな」
勝手にそう思っていたこともあった。
だから、目の前にある体験コーナーを見て、少し興味が湧いた。
「せっかくだし、やってみようかな」
俺が受付に近づくと、係の女性が声をかけてくれた。
「生理痛の体験ですか?」
「はい。ちょっと興味があって」
「電気刺激を使って、腹部に痛みを感じてもらう体験になります」
説明によると、お腹に専用のパッドを貼り、電気刺激の強さを調整する仕組みらしい。
「痛みとか、大丈夫ですか?」
女性が確認してきた。
俺は少し笑いながら答えた。
「我慢強いほうなので、大丈夫だと思います」
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